【プロ解説】高齢者に保険は必要か?シニア向け保険の落とし穴

こんにちは、1級FPのもとです。

私は独立系ファイナンシャルプランナー(CFP®認定者)として、家計改善や資産運用のサポートをしています。

悩む人

高齢者に保険は必要なの?年をとるとなかなか保険に入れなくなってくるから何かあったとき不安なの。

1級FPのもと

確かに不安になりますよね。でも実は、多くの高齢者に医療保険は不要なんです。 実は、高齢になればなるほど保険って損になるんです。その理由を説明しますね。

この記事では数字と制度をもとに、あなたに保険が必要かどうかをズバリ解説します。

この記事を読むことで、「そういうことか」、「確かに」という実感が得られます。

人に言われて何となく決めるのではなく、自分で納得して見直してみてください。

この記事でわかること

✅ 高齢になるほど保険が役に立たなくなる理由
✅ 高額療養費制度で医療費に上限がある仕組み
✅ 差額ベッド代や先進医療の正しい意味
✅ 共済の注意点と正しい使い方

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この記事の内容を動画でわかりやすく解説しています。動画を見てから記事を読むと、より理解が深まります。

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1. 高齢になればなるほど保険は成り立たない

そもそも保険は「みんなで少しずつお金を出し合って、困った人を助ける仕組み」です。

冷静に考えてみてください。

高齢になるほど病気になる人が増えます。保険を使う人がどんどん増えるということです。

保険の財源はみんなから集めた保険料と保険会社の運用益です。

運用益はコントロールできないため保険料を増やすか給付を減らすしか方法はありません。

つまり、保険をもらう人が多いものは、保険料を高くするか給付金を減らすかしかありません

高齢者向けの保険は、構造上、保険料が高いもしくは給付が少ないということです。

このように高齢者の保険は成り立ちづらいのが現実です。

2. 保険に向くリスクと向かないリスク

保険が本来カバーすべきは「めったに起きないけど、起きたら大損害」なリスクです。

なぜなら、小損害であれば貯金のほうが合理的、頻繁に起きるのであれば給付財源が足りず、成り立たないからです。

例えばこのように整理できます。

保険が向いているリスク保険が向いていないリスク
火災風邪・軽い通院
交通事故(高額賠償)誰もがよくかかる病気

高齢になると病気になりやすく、保険を使う確率が上がります。

でも確率が高いリスクに保険は機能しません。

使う人が多いから保険料が高くなって、結局払った分が戻ってこないのです。

ここでは、保険は貯金で対応できない「損失大・確率小」にのみ最低限入るものという点をおさえてください。

3. 高額療養費制度で致命的に高額な医療費はかからない

「でも高額な治療になったら怖い」という気持ち、よくわかります。

ただ、日本には高額療養費制度という強力な公的制度があります。

これは「1か月に払う医療費に上限を設ける制度」です。

所得区分月の自己負担上限
現役並み所得者(70歳以上)約8万円〜
一般所得者(70歳以上)約5.7万円〜
住民税非課税世帯(70歳以上)約2.4万円程度

「自分の場合どう?」と思う方は、下の参考資料を見てチェックしてくださいね!

参考資料:厚生労働省 保険局 高額療養費制度を利用される皆さまへ

どんなに高額な治療でも、1か月の自己負担はこの上限を超えません

現役世代も多くの方は8万円前後、かなり収入の高い方でも16万円~25万円前後程度です。

しかも過去12か月以内に3回以上、上限額に達した場合は、4回目から「多数回」該当となり、上限額が更に下がります。

つまり貯金がある程度あれば対応可能である場合が多いのです。

反論①:「高額療養費は差額ベッド代や先進医療は対象外」

高額療養費制度では差額ベッド代や先進医療、入院時の食費に対応していません。だから民間の医療保険で足りない分を補う必要があります。

このように保険会社のパンフレットに書かれていることがあります。これに反論します。

これは差額ベッド代先進医療正しい意味を理解すれば判断できます。

差額ベッド代とは、通常より条件の良い病室を、自分で希望した場合にかかる追加料金のことで、基本的に自分が希望して個室にしない限り請求されません。(参考資料:厚生労働省の通知

先進医療とは、効果や安全性を確認中で、まだ公的医療保険の対象になっていない医療技術のことです。

つまりこういうことです。

Q. 差額ベッド代が心配 → 自分で個室を希望しなければ発生しません。大部屋を選べば原則ゼロです。

Q. 入院中の食費が心配 → 入院しなくても食事はします。食費は普段とほぼ変わりません。

Q. 高額療養費の対象外の治療だったら? → 先進医療など公的保険対象外の治療は、民間保険でも対象外のことが多いです。

結論として、ほとんどのケースは、貯蓄で対応できます。

反論②:「高額療養費の対象外があったら?」

悩む人

高額療養費の対象外だったらどうするの?

こんな疑問もあるかもしれません。

結論は変わりません。それに高額療養費の対象外に備えるなら民間の医療保険ではなく、貯蓄です。

なぜなら高額療養費の対象外であれば民間の保険でも対象外である可能性が高いからです。

そして何より標準治療は受けられるようになっているからです。

例えば、自分で「どうしても個室がいい」、「この治療を希望します」などと言わない限り通常の治療は高額療養費の対象なのです。

そもそもその対象じゃなければ、民間の保険が対象であるとは考えにくいのです。

つまり、高額療養費の対象外が心配であれば保険ではなく貯蓄で備えることが正解です。

4. 【数字検証】貯蓄と医療保険どっちが損?

ここでは貯蓄した場合と医療保険で備えた場合を比べてみます。

具体的に計算してみましょう。

月4,000円の医療保険に30歳から30年加入した場合

4,000円 × 12か月 × 30年 = 144万円

10日間の入院を30年で3回した場合の給付額(1日5,000円)

5,000円 × 10日 × 3回 = 15万円

144万円払って、受け取るのは15万円。

もしこの月4,000円を30年間、年利5%で運用していたら約274万円になります。

保険に入らず貯蓄・運用した方が、数字の上では圧倒的に合理的です。

※もちろん、長期入院や重大疾病など、高額になるケースでは保険が有効な例外もありますが、かなりまれといえます。

まとめ:不安ではなく、必要性で判断する

結論として、貯蓄がある程度あれば、基本的に医療保険は不要です。

「じゃあ、いくらあればいいの?」という疑問もあると思います。

人によって異なりますが、目安として自分の高額療養費の自己負担上限額×6ヶ月分、「医療費に充てられるお金」として確保できていれば、保険から貯蓄に切り替えることを検討してよいと思います。

しかも高齢の方などはリスクが上がっているため、保険の構造上、成り立たせることが非常に困難です。

ポイント内容
高齢ほど保険は不利になる保険料が上がり、給付が減る
高額療養費制度がある月の自己負担に上限がある
差額ベッド代や先進医療、食費は怖くない選択次第でほぼゼロにできる
数字で判断する先に制度や貯蓄で対応可能か検討する

判断基準は「なんとなく不安だから入る」でも「不要と聞いたからやめる」でもありません。

具体的にどのように必要保障額を計算するか気になる人はこの記事を参考にしてくださいね👇

自分の貯蓄や制度を数字で確認した上で判断する。

それが正しい保険との付き合い方です。

この記事を書いたのは、CFP®認定者・FP1級技能士の今村元気です。西宮市を中心に、中立的な立場で家計や資産形成の相談・伴走支援を行う「ことねFPオフィス」を運営しています。詳しくは[運営者情報]をご覧ください。