保険に入りすぎ?まず最初に確認すべきたった1つの基準

保険の負担が重い
不安で保険を増やしてきた
自分の入っている保険は適切なの?

こう感じているなら、一度立ち止まって考える価値があります。結論から言うと、保険が入りすぎかどうかは必要保障額で判断できます。この記事を読めば次のことができるようになるはずです。

  • 保険に入りすぎていないかわかる
  • 必要保障額の意味と考え方がわかる
  • 保険の選び方がわかり自分で判断できる

保険に入りすぎる3つの理由

まず、事実として保険に入りすぎているのでしょうか。下のデータを見てください。

■ 生命保険(世帯員2人以上の一般世帯)
加入率:89.2% 
件数:3.8件 
年間払込保険料:35.3万円(約3万円/月
(出典:2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査<速報版>

過去を見てもこの水準が続いているのは見過ごせません。

生命保険は前提として若い親の死亡リスクに備えるものですが、親は最大で2人しかいないのに世帯平均3.8件というのは不自然です。

さらに、毎月約3万円。これは一人暮らしの食費1ヶ月分ほどで、20年・年5%で運用すれば約1,200万円になる金額です。

それだけのコストをかけて、保障は本当に適切と言えるでしょうか。実は、入りすぎている上に保障が足りていないケースも少なくありません。

ではなぜ、このような状況が起きるのか。次に「入りすぎてしまう3つの理由」と「正しい選び方」を整理していきます。

① 保険の「選び方」を学んでいない

最も大きな理由は「知らないこと」です。学校で習わないため仕方ありません。その結果、多くの人が「普通はどうか」や「営業に相談して判断する」という選び方をしてしまいます。

ただ、ここは大前提として押さえておきたいポイントです。

例えば銀行・保険・不動産の担当者は「販売」のプロです。必ずしもあなたにとって良いものを紹介できるわけではありません。

もちろん営業は必要不可欠で尊い仕事です。しかし、判断を営業に丸投げするのは非常に危険と言わざるを得ません

例えば、リフォーム会社に「リフォーム必要ですか?」と聞けば、答えはある程度決まっています。保険も同じで、相談する相手が販売者であればどうしても販売する方向に進んでしまいます。

この利益相反構造を詳しく知りたい方は下の記事を読んでみてください。

だからこそ、自分で判断する力が必要です。そのための考え方を、これから一緒に学んでいきましょう。

② 訊かない・断れないが判断を止める

保険は「大人の常識」のように扱われがちで、分からなくてもそのまま進んでしまうことが多い分野です。

分からないのに頷いてしまうのは、「分からない自分が悪い」と感じてしまうからです。

しかし、そもそも消費者に分かるように説明されていないこと自体が問題です。

さらに、「断れない」という心理も判断を鈍らせます。嫌われたくない、関係を壊したくないという気持ちで選んでしまうことがあります。

しかし、冷静になると優先すべきは自分や家族の生活ではないでしょうか。いざというとき、相手は自分たちを守ってくれるでしょうか。

また断ったことで関係が崩れる相手と、長く良い関係を築けるでしょうか。

恥をかくことや嫌われることよりも、家族の生活を守ること、本当に大切な人のためにお金を使うことの方が大切なはずです。

「面倒くさい」「よく分からない」という理由で判断を手放してしまうことが、本当に自分や家族を大切にしていると言えるでしょうか。

でも、あなたは今学んでいます。この一歩が、これからの選択を確実に変えていきます。


③ 不安を消すために「安心」を買ってしまう

最後は「不安を消すため」です。

安心と安全は別物です。例えば、事故率の低い飛行機は安全ですが、安心できないと感じる人もいます。

保険は本来、安心のために入るものではなく、万一のときに生活が破綻しないようにするためのものです。

不安を感じるとよく考えずに「念のため」、「とりあえず」、「みんな入っているから」と判断しがちです。しかし、その選び方では本来必要な保障からズレてしまいます。

本来は、
万一が起きたときにいくら必要か
貯蓄や公的保障でどこまでまかなえるか
不足分はいくらでどれくらいの期間か
この順番で考えるべきです。

この順序を押さえることが、正しい保険選びの肝です。

では、どう選べばいいのか。次に「正しい選び方=必要保障額」の考え方を見ていきます。

【必要保障額】で考える保険の正しい選び方

間違った保険の選び方は次のとおりです。

  • 「とりあえず」、「念の為」で選ぶ
  • 「みんなはどうしてる?」で判断
  • 「いくら貰えるか」で比べる
  • 給与水準からオススメの保険を探す
  • 「何となく怖い、不安」だから入る
  • 得か損かで考える

これらは全て保険の選び方としては少し危険です。ではどうやって選べばいいのか?考え方はシンプルです。

  • 万が一の時、最低いくら必要か
  • 公的保障や会社の保険でまかなえないか
  • 貯金でまかなえないか

万が一のときに必要なお金から、貯蓄や公的保障でまかなえる部分を差し引いた残りが「本当に必要な保険」です。これを「必要保障額といいます。

そして、この必要保障額を満たす保障を確保したうえで、最も保険料が抑えられている商品が、あなたにとって適切な保険です。

保険選びの原則「低頻度・高損失」

必要保障額の計算の前に保険という商品の前提を確認します。

保険は、起こる確率は低いが、起きたときの損失が大きいものに備える仕組みです。

例えば事故や火事などほとんど起きないけど起きたら致命的な損害が発生するものにみんなで掛金を出して当たった人に保険金が支払われます。

これを「相互扶助」と言います。損得ではなく、「払ったけど何も起こらなくてよかった」が普通です。これが大前提です。

前提を押さえると下記のことがわかります。

✔ よく起こるリスク→保険金が足りない
✔ 損失が小さいもの→貯金で対応可能
※起こらない可能性もある
✔ 保険で投資→成り立たない

どうでしょう。まだ少し分かりづらい方のために具体例を上げます。

例えば、傘忘れ保険切符紛失保険が毎月500円であったとしたらどうですか。もし傘忘れや紛失が起きたら無料交換できますよというサービスです。

加入しますか。おそらく入りませんね。それは損失小なので起こるかもしれないけど入る必要がありません。もったいないですね。

他にも空腹保険があったら保険料はいくらだと思いますか?

お腹が空いたら食事が保障されます。これならみんな毎日使います。

つまり保険金をまかなうために保険料は少なくとも一日数千円になるはずです。

結局保険料は食費と同じかそれ以上になります。

もう保険じゃなくて生活費ですねwこのように起こる確率が高すぎるものも保険金(給付受取)を保険料(支払)で準備できないので成り立たないのです。

一方で、死亡や大きな事故は頻度は低くても、生活に大きな影響を与えます。損害賠償で億など高額になったら多くの人が破綻してしまうからです。

自転車保険は特にわかりやすいかもしれませんね。起こる確率はめちゃくちゃ低いです。でも実際に数千万以上の損害賠償が起きた事例が兵庫県だけでも複数あります。(兵庫県ホームページ 自転車事故による高額賠償事例

誰も代わりに払ってくれないのが損害賠償です。だからこそ、起きたときに人生に大きな影響を与えるリスクに備えるために保険は存在します。

保険は「なんとなく入るもの」ではなく、低頻度・高損失に絞って使うのが原則です。

必要保障額の算出ステップ

まずは、万が一のときに必要な生活費などを整理します。「どんな事態が起こり得るか」も具体的に考えます。

例えば、交通事故、火災、一家の大黒柱の死亡などです。

次に、それぞれのケースでどれくらいの経済的負担が発生するのかを考えます。

例えば、月30万円の生活費が必要な家庭であれば、遺族年金でいくらカバーできるのか、貯蓄でどこまで対応できるのかを確認します。

さらに、子どもがいる場合は教育費も含めて考えます。例えば、子どもが22歳になるまでの期間、どれくらいの資金が必要か。その間、配偶者がどの程度働けるのかも現実的に見積もります。

こうして「必要なお金」を具体的に洗い出し、そこから公的保障と貯蓄を差し引くことで、「不足する金額」が見えてきます。

なお、遺族年金の目安は簡易的であれば生成AIでも調べることも可能です。完璧でなくてもいいので、まずは大枠を把握することが重要です。

この不足分だけを保険で補うのが、無駄のない考え方です。

具体例①:子育て世帯の生命保険

例えば、子育て世代で、男性が働き、子ども1人が社会人になるまであと12年ある家庭を考えます。
※数字は仮です。細かい数字にこだわらず、考え方を学ぶことが目的です。

まず現在の生活費を月20万円とします。万が一の際には、遺族年金が支給されると仮定します。

例えば月10万円受け取れる場合、残り必要なのは月10万円です。さらに貯金600万円を生活費に充てられるとすると、ざっくり月4万円分貯金でまかなえます。

つまり、遺族年金10万円+貯蓄4万円で合計14万円となり、不足は月6万円です。この不足分を12年間カバーすると、6万円 × 12ヶ月 × 12年 = 約864万円になります。

したがって、この家庭に本当に必要な生命保険は、約864万円という考え方です。もちろん、ゆとりをもたせて少し多めに設定すると安心です。

また、年数が経つにつれて子どもが成長するため、保障期間は短くなり、必要額も減っていくことを押さえておきましょう。

具体例②:自動車保険

自動車事故は頻度は高くありませんが、一度起きると相手に大きな損害を与え、数千万円〜億単位の賠償になる可能性があります。

こうした損害額は事前に正確に見積もることが難しいため、対人・対物賠償は無制限で備えるのが基本です。

「ほとんど起きないから少し安い〇〇円くらいでいいかな」とケチる考えは危険です。基本的に保険は起こる起こらないを予測するものではなくダメージの大きさに備えます

一方で、自分の車の修理費については考え方が分かれます。例えば私の場合は、安い中古車なので、車両保険は必要ないと考えます。

数十万円程度の修理費であれば貯蓄で対応できると考えれば、保険料を払わずに自己負担とする選択も合理的です。

もちろん、この判断は車の価格や貯蓄状況によって変わるため、人によりますが、ここも「低頻度・高損失」の原則で考えることが大切です。

また、車両保険を払っているのに保険料が上がるからと使わず自己負担してしまうケースも見られます。

そうなると、「保険料を払いながら、いざというときに使わない」という状態になってしまいます。これなら入らないで貯金していたほうがマシではないかと思います。

保険は安心のために増やすものではなく、できる限り入らず、でも致命傷に備えて最小限入るものです。

必要保障額の考え方で整理することで、過不足のない合理的な保険設計が可能になります。


まとめ

保険の入りすぎを防ぐポイントはたった1つ、「必要保障額から逆算すること」です。数字で考えればムダは自然と見えてきます。

もし解約返戻金のある生命保険に入っているなら、万が一のときに受け取れる金額をぜひ確認してください

掛け捨てに比べると、かなり保障が少ないことに気づくはずです。

私がFPとして最も伝えたいことは実は「保険料を節約しましょう」ということではありません。

無駄な保険に入るのはまだいいけど「いざというとき足りますか?」ということです。一番悲しいのは、入りすぎているのに保障が足りない状態です。

保険料をしっかり払っていた人が、万が一のときに不足するケースは意外と多くあります

本来なら保険会社の担当者がきちんと説明すべきことです。

しかしこの記事を読んだあなたは、これまで学んだ考え方をもとに、自分や家族に本当に必要な保障を見極めることができます

あなたなら、もう「なんとなく入る保険」には振り回されず、数字で必要な保障を判断できるはずです。

この記事を書いたのは、CFP®認定者・FP1級技能士の今村元気です。西宮市を中心に、中立的な立場で家計や資産形成の相談・伴走支援を行う「ことねFPオフィス」を運営しています。詳しくは[運営者情報]をご覧ください。