賃上げできない会社の離職防止の取り組み

人が辞める。
採用しても、また辞める。

中小企業の経営者や人事担当者の間で、
ここ数年よく聞かれる悩みの一つです。

「本当は賃上げしたい」
「でも、現実的に難しい」

多くの会社が、
同じところで立ち止まっています。

採用で解決する時代は、もう終わりました


下記の統計を見ても明らかですが、
いまの人手不足は「採れない」のではなく、
採っても辞めることが最大の問題です。

データの出典:厚生労働省「令和6年 雇用動向調査結果の概況」(入職率・離職率)


入職数と離職数は、ほぼ同水準。
つまり、どれだけ採用に力を入れても、
離職が止まらなければ人は増えません。

これからは採用よりも、
離職を防ぐ取り組みが重要な時代です。

賃上げは有効。でも、簡単ではありません

それではなぜ人は離職するのでしょうか?

離職理由を見ると、
男性は「給料等収入」が最多(10.1%)
女性は「労働条件」が最多(12.8%)で、
女性でも「給料等収入」は上位です。

出典:厚生労働省「令和6年 雇用動向調査結果の概況」(転職入職者が前職を辞めた理由)


退職理由で最も多いのは、
確かに「賃金・待遇」に関するものです。
賃上げが離職防止に一定の効果を持つのは
事実
と言えそうです。

ただし中小企業にとって、賃上げは

  • 固定費が恒常的に増える
  • 一度上げると下げにくい
  • 業績悪化時のリスクが大きい

という、非常に重い選択でもあります。

「賃上げ以外に、現実的な方法はないのか」

この問いから、
私は一つのビジネスプランを考えました。

西宮市のビジネスコンテストで発表した、離職防止の新提案

私は先日、
西宮市のビジネスプランコンテストの
ファイナリストとして、
このテーマで発表の機会をいただきました。

提案したのは、
金融教育型福利厚生モデルという取り組みです。

賃金そのものを上げるのではなく、
社員の「実質手取り」を高めることで、
離職を防ぐ
という考え方です。

金融教育型福利厚生モデルとは

このモデルの考え方は、とてもシンプルです。

多くの社員は、

  • 保険
  • 通信費
  • サブスクリプション
  • 固定費の支払い構造

を「なんとなく」続けています。

正しい知識と、少しの整理だけで
月1万円前後の改善余地が出るケースは
珍しくありません。

このモデルでは、

  • 金融教育(知識の提供)
  • 定期的な個別相談
  • 行動につなげる伴走支援

を福利厚生として提供します。

「月1万円の改善」は、机上の空論ではありません

私はこれまで、
個人向けの家計相談や講座を通じて、
延べ130名以上の方を支援してきました。

その中で繰り返し確認できたのが、
固定費と支払い構造の見直しによる改善効果です。

売り込みをしない中立的な立場で整理することで、

  • 支出を抑えながら保障は維持
  • 将来に向けた資産形成も並行

といった形が、無理なく実現できます。


なぜ、離職防止につながるのか

社員が抱える「お金の不安」は、
会社には見えにくい問題です。

しかし実際には、

  • 将来への不安
  • 家計の不透明さ
  • 相談できないストレス

が積み重なり、
転職という選択につながっていきます。

金融教育型福利厚生は、
この見えない不安を可視化し、
軽くする取り組みです。

結果として、
「ここで働き続けられる」という安心感が
生まれ、人が辞めにくい会社になります。

中小企業だからこそ、現実的な選択肢

この取り組みは、

  • 大きな制度改定
  • 高額な福利厚生サービス
  • 人事部門の増強

を前提にしていません。

少人数でも、賃上げより
低コストで始められ、
再現性が高い
ことが特徴です。

また、賃上げはほぼ下げられませんが、
成果を見ながら継続を検討できます。

だからこそ、
賃上げが難しい中小企業に向いている
考えています。

あえて外した、たった一つの本質的な問い

それは、社長が一番気になるのは
「これで本当に離職率が下がるのか?」
という点だと思います。

正直に言えば、
「必ず下がります」と
お約束することはできません。

しかし、事実として、
賃金が理由で転職した人が、
次の会社でも解決していない”
というケースは少なくありません。

なぜなら、
問題の本質が「賃金」ではなく、
「家計管理」にある
場合があるからです。

家計管理によって手取りの実感が変われば、
「転職しなければ解決しない」というのが
思い込みだったと気づくかもしれません。

本来、会社に問題があるわけではないのに、
誤解のまま離職につながってしまうのは、
企業にとっても従業員にとっても、
とても惜しいことです。

それは従業員の人生にとっても
大きな価値であり、結果として
離職防止で企業にとっても
コスト削減につながるのです。

まとめ|賃上げに代わる、もう一つの離職防止策

賃上げは、確かに強い手段です。
しかし、それだけが答えではありません。

社員の手取り感を高め、
お金の不安に向き合うことも、
立派な離職防止の取り組みです。


西宮市のビジネスプランコンテストで
発表したこのプランは、
「理想論」ではなく、現実的な選択肢です。

もし、

・離職に悩んでいる
・賃上げ以外の方法を探している

そんな状況であれば、一度、
貴社の状況をお聞かせいただけませんか。

現状の整理だけでも、
お力になれると思います。